青木 利江
「私は日本語教師になる方法を探している過程で、ALLEXのことを知りました。ALLEXに参加することが一番賢い道なのか、そこそこ楽しめている仕事を辞めて一から何かに挑戦することが正しい選択なのか、迷う要素を挙げれば限がありませんでした。結局、自分では決断することができなかったので、「合格すればそれも何かのご縁」と腹をくくり、応募しました。金銭上の理由で、Teaching Fellow Programでの参加でした。派遣先では、ALLEXに参加しなければ経験できなかったことばかりの、密度の濃い時間を過ごすことができました。大学の先生方からは、一人の教員として対等に扱ってもらえ、わからないことや困ったことがあれば、惜しみない援助をしてもらえました。日本語のクラス運営は一任されていましたが、相談をすれば、どの先生方も真摯に話を聞いてくれたり、一緒に愚痴を言い合ったりしてくれました。このような先生方とのふれあいは、ストレスや不安解消にもなりましたが、同時に、責任感をもたせてくれました。他の先生と同じように、きちんとした授業をしなければいけないと。自分を鼓舞し続け一学期を乗り切った後、もう卒業必須科目ではないにもかかわらず、次の学期に当たり前のように日本語のクラスに座っている顔なじみの学生を見た時の、感動と感謝の気持ちは一入でした。最後まで、ああすればよかった、こうしたほうがいいのかと、常に反省と試行錯誤の毎日でしが、それがおもしろいと思えたことは、自分の中での大きな成長だったと考えています。ALLEXの夏の研修はあっという間ですが、多くのことを学ぶことができ、派遣期間終了後にどのように日本語教師のポジションに応募するか、どんな大学院で日本語の勉強を続けることができるかなど、実用的な情報も与えてくれます。夏の研修のクラスメートには、派遣先の大学院で理系科目やビジネスでの修士号の取得を目的としている人もいたので、ALLEX参加にあたって、日本語教師を目指している必要はありません。研修終了のころには、理系の人も「日本語を教えるの、おもしろいかも」と言っていましたが。ALLEX参加の目的も、参加後にどのような未来が待っているかも、人それぞれだと思います。ただ、ALLEXは派遣先でもやっていけるようにして、送り出してくれました。そして、私のALLEX参加の感想は、思い切ってALLEXのドアを叩いてみたら、想像以上にいろんなドアが開いたという感じです。自分の可能性を見てみたい人、1年後、2年後の自分にかける覚悟のある人を、裏切りません。」
青木利江 (’15-17)