田中 杏奈
「私は「とにかくアメリカの大学に行きたい」という思いだけで参加しました。「日本語を教える」というのは、正直なところ、私にとっては「おまけ」でした。でも、その「おまけ」が自分にとってかけがえのない大きな財産になりました。これほどまでに「日本語教師」のとりこになるとは思っていませんでした。 まず、セントルイスでのトレーニングは本当にすばらしいものでした。出発前は、赤松さんはじめ、ALLEXのスタッフにとても助けていただきました。事務的でない、人情味のある対応に感謝しきれないほど助けられました。セントルイスに行ってからは、野田先生、糸満先生、桃原先生、三木先生にあらゆる技術・心構え・学生との接し方等教えていただきました。情熱のある先生ばかりで、クラスで直接教わるもの以外にも、先生方の姿勢から教わるものが本当にたくさんありました。どう考えてもトレーニング中はかなり忙しい日々を送っていたと思いますが、私たち1人1人をよく見てくださっていました。「こんな先生になりたい」と思わせてくれる先生に出会えたことはこのトレーニングでの一番の財産です。 それから、一緒に頑張れる仲間に会えたこともこれ以上ない宝物です。それぞれがそれぞれの専門分野・職業・経験を持って参加していて、いろいろな考え方に触れることができました。1ヶ月ほどの期間でしたが、お互いに文字通り「叱咤激励」し合いながら日々過ごし、とても濃い関係を築けたと思います。特にルームメイトとは 何かとあーだこーだと言い合いながら毎日過ごしました。こんな短い期間でも、ここまで本気で言い合える仲間を持つことができたのは、同じ目標に向かって、同じ苦労を味わい、乗り越えたからだと思います。ホスト校に行ったあとでも、ALLEX生のみんなとは、連絡を取りながら助け合いました。 そして、ホスト校での毎日も素晴らしいものでした。私のホスト校は私以外に日本人がいないところだったので日本語のプログラムに関してはすべてを任せてもらいました。初めは不安な気持ちもありましたが、セントルイスのトレーニングのおかげで、自信を持って日々授業を行うことができました。トレーニング中の勉強は大変でしたが、その一番の目的は私たちに「自信を持たせる」ことだったのかなあと今では思います。大学での’学生のレベルはいろいろですが、そういうことに関しての心の準備もできていたし、自然と自分なりに手立てを考えることができました。私自身、このプログラムに参加する前は公立高校で英語の教員をしていましたが、同じ「教育現場」でも、日本で英語を教えるのと、アメリカで日本語を教えるはまったく違った環境なので、すべてが新鮮で刺激的でした。そしてなにより楽しい!! 学生として取った授業でも多くを学びました。私のホスト校はHBCUということもあり、African American Studiesがとても盛んなところでした。初めはそこまで強い興味があったわけではありませんが、勉強するにつれどんどん惹かれていき、今では没頭しています。学生としても、教員としても、ホスト校で多くを学ぶことができました。 「とにかくアメリカに行きたい」と思い、大学を卒業してから日本で4年間働いてお金を貯めました。アメリカ国内で旅行もかなりしたので、今ではそのお金もすっからかんですが、後悔は何一つとしてありません。ALLEX以外にも、いろいろな留学プログラムを調べましたが、このプログラムに参加してよかったと心の底から思っています。 ・・・ここだけの話ですが、ALLEXにお金を振り込んだ後、「こんなうまい話があるかな」とか「本当にアメリカに行けるのかな」という思いが込み上げて、遂には「詐欺だったらどうしよう」とさえ思いましたが(笑)、そのプログラムがこれほどまで私にとってかけがえのない経験になったことは自分でも驚いています。 プログラム終了後のことは個人的にはまだ考えていませんが、同期のALLEX生には、前職に戻る人・新たな職を探す人・教育に携わる人・アメリカに残る人・・・様々です。このプログラムを通して、いろいろな人に出会い、見識も深まるので、プログラム終了後の可能性は無限大だと思います。 参加を考えている方には、ぜひ前向きに検討することをおすすめします。 もちろん大変なこともありますが、心強いALLEXのスタッフのみなさんと同期のALLEXのみんながいると、それもまた楽しいものです。」
田中杏奈 (’17-18)